スーダンの砂漠地帯を耕作地に変える農業プロジェクトでキャタピラーのチームも重要な役割を果たしている。
数十台のCatマシンが稼働中だという現場の裏側に迫った。
スーダン北東部のヌビア砂漠。一見、農業には不向きと思われるこの土地で、大規模な農業プロジェクトであるProject Greenが動き出している。ブダビのRoyal Groupとスーダン最大の企業グループDAL Groupの合弁企業であるAgriculture Investment HoldingCompany(Ethmar)社が、2億2,500万ドルを投じ、ヌビア砂漠を耕作可能な農地に変える大事業だ。
完成時には総面積42万エーカー(約17万ヘクタール)に及ぶこのプロジェクトは、まず13万エーカー(約5.2万ヘクタール)の第一期工事を終えると120エーカー(約48ヘクタール)ずつの円形500区画に分けられ、小麦やグレープフルーツなどの作物を栽培する予定である。プロジェクト開始からわずか1年で、すでに50区画が稼働を始めており、その進捗は驚くほど速いペースで進んでいる。
「確かに、ここは砂漠です。しかし、私たちはこの地を緑豊かな場所に変えようとしています」とDAL Groupの会長Osama DaoudAbdellatif氏は語る。「プロジェクト付近はナイル川や多くの河川に恵まれ、雨も降り、地下水も豊富にあります。国土は世界でも有数の平坦さで、砂の下には良質な土壌が眠っています。つまり、必要な条件は全て整っているので、それほど難しい計画ではありません。あとは、この土地を緑豊かに育てるだけです」
このプロジェクトを成功に導く鍵は、灌漑にある。その仕組みは、アルワハとアブハマドの農場において、わずか10km先のナイル川から水を引き、18kmの用水路を通じて農地に水を供給するというものだ。「この地域は過酷な環境で、砂嵐も頻繁に発生します。しかし、灌漑さえうまくいけば農業も成功するでしょう」と、Ethmar Agriculture Investment社のNazim Khalil CEOは話す。
アブハマドでは夏季の気温が48度にも達することもあり、日中はあっという間に水が干上がってしまい、灌漑は困難を極める。しかしDAL Groupはこのような環境下でプロジェクトを実現するための十分な資金力とノウハウを備えた、数少ない企業の一つである。
DAL Groupは、創業者であるDaoud氏の父親が1960年代にキャタピラーのトラクタ販売から事業をスタートさせたことに端を発する。現在も、その原点とのつながりは色濃く残されており、子会社のSUTRAC社(スーダン唯一の正規Catディーラ)を通じて、その歴史は継承されている。Project Greenで
Catマシンが重要な役割を果たしているのは、自然な成り行きと言えるだろう。※ 1ヘクタール=1万平方メートル
SUTRAC社のジェネラルマネジャー、Yasir Elhajj氏は「当初、我々は初期インフラ構築支援のためにマシンをレンタルするだけでした」と説明する。「しかしプロジェクトが進み、実際に用水路の建設を行うことで、我々の豊富な経験がプロジェクトに大きな価値をもたらせることに気づいたのです。そこで、プロジェクトに対応すべく、レンタル部門内に新たな土木・建設セクションを設立しました。今では、現場で60台のCatマシンが稼働しています」
これだけ多くの機械を現場に搬入することは、それ自体が大きな課題にも思えるが、Yasir氏の見方は異なる。「もちろん多くの障壁に直面しましたが、キャタピラーのチームと密に連携し、事前に計画を立てることで、すべてを乗り越えてきました」。このような大規模なプロジェクトに携わることは、Yasir氏にとって、当然ながら大きな誇りでもある。「これはSUTRAC社とDAL Groupにとって重要なプロジェクトであるだけでなく、スーダンの人々にとっても重要なものです。完成すれば、Project Greenはこの地域で5,000人の新たな雇用を創出すると見込まれています」
かつては広大な耕作地と豊富な水資源を誇り、世界的な穀倉地帯として知られたスーダンは、近年、海外からの投資が不足し、苦境に立たされてた。しかし、DAL Groupの参入で状況は変わりつつある。「農業は、単に原材料を生産するだけでなく、製造業を含むあらゆる関連プロセスに価値を付加する産業であるべきです。また、農業は畜産業とも統合されるべきだと考えています」と、Daoud氏は話す。
国連食糧農業機関(FAO)によると、スーダンの農業部門は国内総生産(GDP)の約3分の1を占め、労働人口の約3分の2の生計を支えている。しかし、耕作可能な土地のうち使用されているのはわずか3分の1にすぎない。Daoud氏は次のように話す。「スーダンほど利用可能な土地が豊富な国は、世界中探してもなかなかありません。スーダンは本質的に農業国です。ここでは農業こそが未来なのです」
Project Greenのような取り組みが進行している今、スーダンの農業は明るい未来に向かって大きく踏み出そうとしている。